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続・使い方を売るだけの人に騙されない…時間とお金を無駄にしない話

  • 執筆者の写真: yuki kato
    yuki kato
  • 5月19日
  • 読了時間: 5分

前回書いた「AIの使い方そのものを売る人は信用すべきじゃない」というブログが、ありがたいことにこれまでで一番読まれた。

「同じことを思ってた」「でも言語化できなかった」といった反応ももらった。やっぱり、あれに違和感を抱いていたのは自分だけじゃなかったんだなと再確認した。


じゃあ、今回はその続編。

私はあの記事の中で、「本当に価値があるのは設計できる人」と書いた。

でも、現実として“設計できる人”ってめちゃくちゃ少ない。

なぜなのか?今日はその理由を、本音ベースで深堀りしたい。




■使い方を学ぶのは「簡単な快楽」だから


ChatGPTの使い方、Notion AIの活用法、画像生成プロンプトのテンプレ集。

今、XやYouTubeには“すぐに分かった気になれる情報”があふれてる。

しかもそれらは、ほんの数分で「なんかすごいことを学んだ気」になれる。


これってある種の“手軽な快楽”なんだよね。


例えば、ある中小企業の社長がセミナーで学んできたプロンプトをそのまま自社に持ち帰り、スタッフに「これで請求書作れるらしいぞ」と言ったとする。

でもその後、誰も使ってない。理由を聞くと、「そのままじゃうちのフォーマットに合わなかった」と返ってくる。


これはもう典型的な“知っただけで終わる”パターン。


こういう情報って、買いやすいし、話題にもなるし、周囲にも説明しやすい。

だけど、現場に落ちない。

快感はあっても、実装がない。




■設計はしんどい。答えもすぐ出ない


逆に、AIをどう組み込むかをちゃんと設計しようとすると、めちゃくちゃ面倒くさい。


たとえば、私はある物流企業で、ChatGPTを使った業務改善に関わったことがある。

最初にやったのは、ドライバーと配車係のやり取りを全部洗い出すこと。

誰が、どんな情報を、いつ、どんな言葉で、どんな媒体で伝えてるのか。

それを一個ずつ、全部整理した。


その上で、「ここは自動化しても現場の混乱が起きないか?」を確認して、

ようやくプロンプトと運用設計に入った。


こういうプロセス、マジで地味だし、すぐには成果も出ない。

でも、半年後には事務作業の時間が月に30時間減って、1人分の人件費をまるごと浮かせられた。


設計って、こういう地味な努力の積み重ね。

ツールの名前を変えてもいいけど、このプロセスは一生変わらない。



 

■ノウハウは消耗品。設計は土台


「このツール使えばOKです」「このプロンプト、コピペで使えます」

そういう投稿が伸びやすいし、受け入れられやすいのは分かる。


でも、正直言うと、私のところにも「AIツールを導入したのに全然効果が出ない」と相談してくる企業がめちゃくちゃ多い。

そのたびに、前提からひっくり返す作業が必要になる。


ツールだけ先に買って、設計がない状態って、

水道管を引く計画もしてないのに浄水器だけ設置するようなもの。

水、出ないから。


設計って、会社ごとの土台づくりなんだよね。

だからテンプレが通用しない。だから教えづらいし、売りづらい。

でも、そこをすっ飛ばして使い方だけ売ってる人が多すぎる。


   


■事例:テンプレだけで失敗した美容室


以前、美容室の開業支援に入ったときの話。

「AIで求人強化したい」と言われて、前に別のコンサルからもらったプロンプトを見せられた。


見事にズレていた。

内容は派手だけど、チェーン店向けのテンプレだった。

店舗が1つしかない個人店には全く合っていなかった。

結果、求職者は集まらず、しかも面接予約の段階でLINEの返信が追いつかなくなるという事態に。


結局、そのテンプレは捨ててもらって、

「なぜこの場所でこの人材を必要としているのか」から逆算して設計をやり直した。

そしたら、翌月から自然と反応率も来店率も上がった。


テンプレの知識より、自分の現場に合った問いの立て方。

ここができない限り、どんなAIを使っても一過性で終わる。


 


■設計ができる人になるために、私が意識していること


私も最初から設計ができたわけじゃない。

でも、実務を重ねていく中で、次の4つの視点だけはブレずに持ってる。


1. 目的があってこそのAI。入れることがゴールになってはいけない



2. 人の感情・癖・時間感覚を無視した設計は絶対に破綻する



3. 検証可能性がない導入はギャンブルと一緒



4. 成果が出るまでに3ヶ月かかる前提で動く(短期で焦らない)




特に2つ目が大事で、

「人ってめんどくさいんだよね」って感覚を無視して設計すると、現場は絶対に回らない。




■目立つのはノウハウ屋。でも呼ばれるのは設計者


今の時代、声が大きい人のほうが目立つ。

バズったプロンプト、最新ツールのまとめ、派手な事例。


でも、現場で静かに呼ばれて、継続的に信用されてるのは、地味に設計できる人だ。

私はそういう人たちの背中を何人も見てきた。

そして、自分もそうでありたいと思っている。


設計は一見すると遠回りに見える。

でも、それを飛ばすと、結局あとで何倍も回り道することになる。

だから、私は遠回りに見えても、そっちを選ぶ。




■結論:設計ができる人になるには「めんどくささ」を受け入れるしかない


設計ができる人が少ない理由はシンプル。

めんどくさいから。成果が出るまで時間がかかるから。テンプレが効かないから。

でも、そこにしか本物の価値は存在しない。


AIの活用で結果を出したいなら、操作マニュアルよりも問いの構造を知ること。

手段よりも、構想と文脈を先に描くこと。

そして、失敗と仮説の繰り返しを恐れないこと。


私はこれからも、派手なノウハウじゃなく、設計という“地味な本質”に向き合っていきたい。

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