自分達に都合が良い事しか見ない人達
- yuki kato
- 9月17日
- 読了時間: 4分

人は「見たいもの」だけを見て、「見たくないもの」は無視する生き物だ。
この癖は誰にでもある。心理学では「確証バイアス」と呼ばれ、自分の考えや信念を守るために都合の良い情報だけを集め、不都合な事実は切り捨てる傾向を指す。
この現象は個人レベルの癖にとどまらず、社会や文化、経済や政治の場面にまで広がっている。
ここでは具体例を挙げながら、なぜ人は「都合の良い切り取り」に縛られてしまうのかを考えてみたい。
■ヴィーガンという選択
ヴィーガンは動物を殺さない、環境負荷を減らすという大義を掲げている。
倫理的に強い説得力を持ち、支持者も増えている。
しかし一方で、不都合な事実もある。
アボカドやアーモンドといった植物性食品の需要増加は、栽培地の水資源を奪い、環境破壊につながっている。
大量の輸送によるCO2排出もある。
それでも「肉を食べないことが正しい」という構図を守るため、これらの問題はしばしば見えないものとして扱われる。
つまり、善意が不都合な現実を覆い隠すこともあるのだ。
■ダイエットの成功物語
糖質制限ダイエットは「短期間で痩せた」という体験談がネットに溢れている。
だが長期的に続けた人の中には、体調不良やリバウンドを経験する人も少なくない。
腎臓や肝臓への負担が指摘されることもある。
それでも失敗談はあまり目に触れない。
成功例が都合よく強調され、失敗した人は「やり方が悪かった」と個人責任にされる。
ここでも「自分の信じたい物語」を守るために、情報が選別されている。
■投資の光と影
株式投資や仮想通貨の世界では「億り人」や「成功者ストーリー」が注目される。
メディアはアクセス数を稼ぐために成功談を煽り、SNSも派手な勝ち組の発信ばかりが目立つ。
しかし、資金を失って破産した人、借金地獄に陥った人は表に出ない。
彼らの声は小さく、物語にはならない。
だから投資を始める人は「勝ち筋」ばかりを見て、リスクを軽視してしまう。
■政治とイデオロギー
愛国心を強調する教育では、自国に誇れる歴史が語られる一方で、加害の歴史や差別の事実は隠されることがある。
「都合の良い物語」を共有する方が国民をまとめやすいからだ。
陰謀論も同じ構造だ。
「政府が隠している」という話には熱狂するのに、反証データは「操作されている」と切り捨てる。
つまり、疑う対象すら都合の良い枠組みの中で選んでいる。
■スピリチュアルと健康グッズ
「この石を持てば運気が上がる」
「波動を整えれば病気が治る」
こうした商品は常に一定の支持を集める。
効果があったという体験談は積極的に共有されるが、効果がなかった人は「信じ方が足りない」と言われてしまう。
科学的根拠が不十分でも、信じたい人が集まれば共同幻想が形成され、確証バイアスがますます強まっていく。
■人間関係でも起こること
恋人や家族に対しても、人は同じ癖を持つ。
優しい一面や楽しい思い出は大事に覚えているが、暴力や依存、モラハラの兆候には目をつぶる。
周囲が忠告しても「でも良いところもあるから」と肯定的な部分で帳消しにしてしまう。
これは心理学的には「認知的不協和の解消」と呼ばれ、自分の選択を正当化するために現実を切り取る行動だ。
■不都合な真実に向き合えるか?
結局、人間は「自分たちの都合の良いものしか見ない」生き物だ。
ヴィーガン、ダイエット、投資、政治、スピリチュアル、人間関係。
対象は違っても、構造は同じだ。
都合の良い物語を守ることは楽だ。
しかしその代償は大きい。
不都合な情報を無視すればするほど、現実認識は歪み、後になって痛みを伴う。
必要なのは「見たくないものに目を向ける勇気」だ。
不快な真実に向き合うことでしか、バイアスから解放されることはない。
そして今の時代、AIやデータサイエンスはその補助線になり得る。
声の大きさや物語の都合ではなく、ファクトを可視化することで、私たちは認知のゆがみを少しずつ正すことができる。
AI未来鑑定士 / リクルートストーリーテラー
合同会社Lepnet 代表社員 加藤勇気








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