あなたにOSは、インストールされていますか? 〜思考停止時代のアップデートガイド〜
- yuki kato
- 6月18日
- 読了時間: 4分
■ なぜ話が通じない?それ、思考OSの不具合かも
誰かと話していて、なぜかまったく噛み合わないことはないだろうか。
私は最近、それが単なる相性や性格の違いでは済まないと感じている。
なぜそう思ったの?と尋ねても、返ってこない。
それって本当?と聞いても、疑問に思ったことすらない様子。
論理でも感情でもなく、そこにあるのは空白。
最初は「この人、考え方が古いんだな」と思っていた。
でも違った。もっと深刻だった。
そもそもその人には、思考のOS自体がインストールされていなかった。
■ OS未搭載とは何か?脳の初期設定がない状態
パソコンにとってのOSとは、動作の土台。
私たち人間にも、物事を考えたり整理したりするためのベースが必要だ。
それが思考のOS。
だが、世の中にはその初期設定自体が抜け落ちたまま生きている人が存在する。
なぜそう思うのか説明ができない
感情だけで結論に飛び、理屈は後付け
信念と事実の区別がつかない
話がズレていても本人は正しいと思い込んでいる
これはもう、思考停止ではない。未起動だ。
アップデートが必要なのではなく、まずインストールが必要な段階だ。
■ 気づけないままネットに常時接続している危うさ
さらにやっかいなのは、そういった人ほど「自分は正しい」と信じている点にある。
そしてSNSでは、似たような思考未起動の人々が自然と集まり、共鳴し合う。
その結果、考えずに感じることを美徳とする共同体ができあがり、
違和感を覚えた誰かの発言はすぐに「空気が読めない」と排除される。
AIなんか信用できない
昔のほうが良かった
最近の若い世代は甘い
こうした定型句が繰り返されていく中で、思考はさらに遠ざかる。
情報社会に常時接続していながら、頭の回路はずっとオフラインのままなのだ。
■ 対話を成立させるには、正すより問いを投げる
では、思考OSが未搭載の人とどう対話すればいいのか。
私は正そうとするのではなく、「考えるという機能そのもの」に触れてもらうことを意識している。
なぜそう思ったの?
他の考え方ってあると思う?
それ、いつからそう考えるようになった?
こうした問いに反応があれば、OSインストールの余地がある。
反応が一切なければ、接続方式を変えるしかない。
私はその場合、読み取り専用モードで接することにしている。
自分のリソースを守るためにも、それは必要な選択だ。
■ フォロワー数=信頼性ではないという基本
もうひとつ見逃せないのが、調べればすぐ分かることを調べずに信じてしまう人の多さだ。
フォロワーが多い人の発言を、裏取りせず鵜呑みにしていないか?
海外ではこうらしい、日本では報道されない、といった都合のいい味付けの話を美味しく食べていないか?
そのエビデンス、本当に出典が明確なものか?
いまやスマホ1台で世界中の情報が拾える時代。
それでも調べないのは、検索エンジンではなく思考のOSが眠っている証拠だ。
思考とは、信じることではなく、確かめること。
私はそう考えている。
■ あなたのOS、今のままで動いていますか?
他人のOSを見てあれこれ言う前に、自分自身を見直す必要もある。
私は定期的に以下のような問いを自分に向けている。
同じ考えに固執していないか
昔のやり方にしがみついていないか
知らないものに反射的に否定していないか
異なる意見を即バグ扱いしていないか
OSの最新版を使っているかどうかよりも、
いつでもアップデートできる状態にあるか。
それこそが、今を生きるための大事な条件だと思う。
■ 思考のOSは後からでもインストールできる
思考OSは、生まれつき備わっているものではない。
環境と経験、そして問いかけによって、後天的に育てていくものだ。
ただし、それには前提がある。
自分には思考OSというものが必要だと、まず気づくこと。
気づけば変われる。
気づかなければ、永遠に未起動のままだ。
あなたのOSは、今どのバージョンだろうか。
ちゃんと起動しているだろうか。
あるいは、インストールそのものを忘れてはいないだろうか。
私は今日も、自分に問いかけながら、更新を続けていきたい。
Comentários