虚言が過ぎるとこうなる、という話。
- yuki kato
- 7月25日
- 読了時間: 4分

あなたの周りにもいませんか?
自分をよく見せるために話を盛ることがクセになり、
ついにはそれが自分にとっての真実になってしまっている人。
今回は、先日私が実際に出会った虚言癖かもしれない人物の話をベースに、
嘘が常態化することの怖さについて綴ってみます。
■ある日の実話
とある打ち合わせの場。
一人の30代後半くらいの男性が、雑談の流れで突然こう言い出しました。
AIでRSA暗号を解けるシステムを自分で作ったんですよ
(は?……RSA暗号? AI?)
RSA暗号というのは、現在のインターネットのセキュリティを支える最重要技術のひとつ。
これを自作のAIシステムで解いたと、しかも複数人がいる場で堂々と話す。
あぁ…なるほど。そういう人か…
と思わざるを得ませんでした。
■これに違和感があった理由
その人が言ったのは、
AIでRSA暗号を解けるシステムを作ったという話
こればやべー人だ…と思いましたよ…。
なぜなら――
いま、世の中には
AIなら何でもできるという幻想が広がっている。
でも実際のAIというのは、あくまで既存のデータを元にパターンを解析したり、
予測したりするためのツールであって、
数学的に未解決の問題を勝手に発明して突破するような存在ではない。
特にRSA暗号のような、
数学の深淵とも言える分野においては、
AIはまだ補助に過ぎない。
なのに、それをまるで
ChatGPTで解けました
くらいのノリで話されると、
もうこれは完全にAIを盾にした虚言としか思えなくなる。
AIが魔法の杖のように語られることで、
実現不可能な話に一気に信憑性を持たせたような気分にさせるのが、
今の最もよくある誤解なのかもしれません。
■RSA暗号って?
もちろん、100%嘘と断定するつもりはありません。
世の中には突き抜けた天才もいますし、歴史的ブレイクスルーは異端から生まれることもある。
でも、RSA暗号ってこんな仕組みなんですよ?
たとえば、英数字・記号含む94種類の文字で10桁のパスワードを総当たりで突破する場合、
その組み合わせ数は
94の10乗 = 54溝2668穣6535𥝱2252垓0468京4889兆2820億7360万通り
1秒間に1兆回試せるスパコンがあっても、1700年以上かかる計算になります。
RSA暗号は、それよりはるかに複雑な巨大な素因数分解の問題。
この難問を突破するには、既存の計算機科学でも手が届いていません。
量子コンピュータですら将来的には可能かもというレベル。
そんな代物を、AIで解きましたと、しかも打ち合わせの雑談で語る…。
これはもう、現実との接点がズレているとしか言いようがありません。
■なぜ人は嘘を重ねるのか?
虚言癖は、ただの見栄だけではありません。
それは多くの場合、理想の自分と現実の自分のギャップに苦しんでいるサインです。
最初は自己防衛のためについた小さな嘘。
でもそれがウケたり、否定されなかったりすると、
もっと盛っても大丈夫だと脳が錯覚し始める。
やがて、
嘘をついている → 嘘のほうが本当っぽくなる → 自分でも本当だと信じ込む
というプロセスで、嘘が自分自身になっていきます。
ここまでくると、もはや本人に悪意はなく、
むしろ純粋な自己イメージの一部として存在してしまっている。
■嘘の代償
最も怖いのは、信頼を失うことに無自覚になってしまうことです。
すごいねと言われたい。
評価されたい、認められたい。
その欲求自体は誰にでもあるもの。
でもそれを嘘で得ようとした時点で、
積み上がるのは信用ではなく虚構です。
そしていつか、その虚構はほころび、
え、あの人って本当は…という噂となり、
取り返しのつかないレッテルとなって返ってきます。
■まとめ
嘘は、誰かをだますための武器ではなく、
自分を守るための仮面として始まることが多い。
でも仮面は、長く着けていると外せなくなる。
本当の自分がわからなくなる。
そして気づいた時には、誰も本当の自分を知らなくなっている。
ところで、この話がもし、本当だった場合。
全世界のセキュリティーを全て壊せることになります。
現存する最高速のスパコンより10000倍早い計算で。
「私、タイムトラベルしてきた未来人なんですよ」
これを信じるのと同じような話。








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