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その比較、本当に正しいでしょうか?

  • 執筆者の写真: yuki kato
    yuki kato
  • 5月25日
  • 読了時間: 4分

世の中には、比較という言葉が便利すぎて、つい使いたくなる場面が多くあります。でも少し立ち止まって考えてみてほしいのです。その比較、本当に正しい前提で成り立っていますか。もしもズレた比較を元に話が進んでいるとしたら、議論も施策も、ズレたまま走ってしまう危険があります。


今回は、そんなズレた比較の代表例を紹介しながら、思考の落とし穴について考えていきます。




■ アメリカでは、という比較 本当に意味がある?


アメリカではマーガリンが禁止されているらしい

ベーコンは発がん性があるってWHOが言ってる

アメリカではもう○○は使われていないそうだ


こういうフレーズを聞くと、なんとなく日本は遅れているという印象を持たされます。でも、その比較は本当に成り立つのでしょうか。


たとえばマーガリン。アメリカでは、部分水素添加油脂というトランス脂肪酸を含む製造法が事実上禁止されました。これは健康被害との相関が明確になったからです。ただし、日本で販売されているマーガリンはすでにトランス脂肪酸の含有量を大幅に制限しており、同じように危険視するのは早計です。


ベーコンについても、WHOが加工肉をグループ1の発がん性分類に指定したことが話題になりました。けれどもこれは、確かにリスクがあるという分類であって、今すぐ危険という意味ではありません。ちなみに同じ分類には紫外線やアルコールも含まれています。


つまり、海外で禁止された、危険だとされているという情報だけを切り取ってしまうと、文脈が欠落してしまうのです。重要なのは、なぜそう判断されたのか、その背景と前提を理解することです。




■ 大学教授の研究では、という話 本当にそのサービスと関係ありますか?


この素材にはテラヘルツ波が含まれていて、細胞の活性化が期待できます

大学の研究で体温が上がるという報告もあります

血流が改善され、免疫力が高まると考えられています


こういった説明を健康商品やスピリチュアル系グッズの広告で目にしたことはありませんか。


たとえばテラヘルツ鉱石。高周波の電磁波であるテラヘルツ波が出ているとされ、それが体調を整えるという謳い文句が使われています。中には、大学教授の研究によって効果が証明されているといった説明も添えられています。


しかし実際には、名古屋大学の川瀬教授の研究が、関係のない健康商品で勝手に引用され、しかも歪んだ解釈で使われていたという事例がありました。これに対し、川瀬教授ご自身がウェブサイト上で正式に注意喚起を行っています。


川瀬教授が行っているのは、あくまで工学的なテラヘルツ波の性質や応用技術に関する研究です。人体への健康効果については、なんら裏付けていないにもかかわらず、一部の業者が大学の名前や研究の一部を切り取って、まるで科学的根拠があるかのように演出していたのです。


教授や大学名が出てくると説得力があるように感じますが、誰が、どの対象に、どんな条件で行った研究なのか。それを確認しなければ、それは科学ではなく演出です。




■ ズレた比較が生む、ズレた判断


ここまで紹介したように、海外との比較や研究データの引用がすべて間違っているわけではありません。ただし、それを文脈や条件を無視して都合よく切り取ると、誤解や過剰な期待を生む原因になります。


本来であれば、そのデータが誰に向けたものなのか、どういった条件で得られたのか、それを踏まえて解釈する必要があります。背景を無視してデータだけを見るというのは、栄養成分表だけで料理の味を語るようなもの。本質が見えなくなります。




■ AIでファクトチェックをしてみましょう


これからの時代、情報に振り回される必要はありません。なぜなら、AIを使えば、自分の手でファクトチェックができる時代になったからです。


たとえばこんな調べ方があります。


テラヘルツ波 論文 site:ac.jp

マーガリン トランス脂肪酸 日本 規制

ChatGPTに「この情報は本当ですか?」と聞いてみる

PerplexityやGoogle Geminiで「この研究の出典を探して」と聞いてみる


大事なのは、疑うことではなく確かめること。

これまでは、知っている人だけが強い社会でした。

これからは、調べる力を持っている人が強くなる社会になります。


そしてその力は、AIという道具を使えば誰でも手にすることができます。




正しさは、声の大きさでは決まりません。

権威や空気に流されず、それって本当?と自分で確かめる力を持つ。

今や、真意は自分の手で確かめられる時代になっているのです。

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