最近登録者が10万人になったYouTuberと3年前に10万人になったYouTuberの収入差を検証してみた
- yuki kato
- 5月23日
- 読了時間: 5分
はじめに:同じ10万人、でも稼げない?
YouTubeで登録者10万人といえば、一昔前ならひとつの到達点だった。銀の盾が届き、案件の声もかかり、広告収益だけで食べていける。そんな成功モデルが存在していました。
でも2024年以降、その幻想は崩れつつある。
最近10万人を突破したYouTuberと、3年前に同じ成果を出したYouTuberでは、収入に明確な差が生まれている。
このブログでは、その原因と構造を掘り下げてみました。
1. 広告単価(CPM)の急落
まず前提として、CPMとは何かを説明しておきます。
CPMとは、Cost Per Milleの略で、広告主が動画内の広告を1000回表示するごとに支払う金額のこと。
YouTuberの広告収入は、このCPMに基づいて計算されます。
動画が再生され、その前後または途中に広告が表示されると、視聴者の反応に応じて収益が発生する仕組みになっています。
たとえばCPMが300円なら、1000回の広告表示で300円の収益が入る。再生1万回ならおおよそ3000円前後という計算になる。
ただしこれは平均値で、実際は動画のジャンル・視聴者属性・広告の種類などに左右される。
3年前、YouTubeの平均CPMはジャンルによっては400〜600円、ビジネスや金融系であれば800円超えもあった。
つまり、1万再生で4000円〜8000円の収益が期待できたわけですね。
しかし今、2024〜2025年のCPMは大幅に低下。200〜300円台が主流で、ショート動画は100円を切るケースも多い。
同じ1万再生でも、収益は1000〜3000円程度。広告収入だけに頼っていたら、生活はかなり厳しい。
理由は明確で、広告主がYouTube以外にも広告費を振り分けるようになったからです。
TikTokやInstagramリール、さらにはアプリ広告や検索連動型広告などに予算が流れている。
つまり、同じだけ再生されても、もらえる金額が全然違う。
これが今のYouTuberを苦しめている最大要因になる。
2. 視聴スタイルの変化:「ながら見」時代の到来
3年前の視聴者は、YouTube動画をしっかり見てくれる傾向が強かった。
コメント欄も盛り上がり、再生時間も長く、アルゴリズム上も評価されやすかった。
しかし現在は、倍速視聴、ながら見、音声だけの再生が主流になっている。
これは一見すると再生数には好影響を与えるが、実際はそうでもない。
YouTubeが動画の価値を判断する要素には、総再生時間、視聴維持率、エンゲージメント(いいね・コメント)などがある。
つまり、ただ再生されるだけでは不十分。内容に集中してもらえなければ、評価されにくい構造なのだ。
その結果、広告単価も伸びず、収益が上がりづらくなっている。
努力して良い動画を作っても、しっかり見てもらえない時代になっているのが現実だ。
3. AI量産コンテンツとの競争
3年前は、1本の動画を作るのに時間と手間がかかるのが当たり前だった。
台本を自分で書き、撮影し、編集して、ようやく1本完成する。そこに努力と熱量が乗っていた。
しかし現在、AIを活用したコンテンツの量産が進んでいる。
ChatGPTで台本を作り、ナレーションもAI音声、編集はテンプレで自動化。1日10本投稿するチャンネルも珍しくない。
このようなAIチャンネルが市場に溢れ、視聴者の注意は分散し、1本あたりの動画の価値は下がっている。
努力して制作したオリジナル動画と、AIが自動生成した動画が同じ土俵で競う時代。
だからこそ、広告収益だけに頼ると割に合わないのです。
4. 登録者10万人=ゴールではない
かつて10万人の登録者がいれば、安定的な広告収入が得られ、さらに企業案件やコラボなどの副収入も見込めた。
現実に、多くのYouTuberが10万人突破で仕事を辞め、YouTube一本に絞って生活していた。
ところが今は、10万人を超えても「食えない」ケースが急増している。
動画の再生数が伴っていなかったり、ショート動画ばかりだとCPMが低く、広告収入はほとんど入らない。
登録者数はただの数字であり、YouTubeの再生回数や収益とは必ずしも比例しないのである。
今はむしろ、登録者数よりも「何を売っているか」「どこに誘導しているか」が重視される時代。
YouTubeは単なる入口に過ぎず、そこからサロン、オンライン講座、商品販売などにつなげる戦略が主流だ。
5. 制作コストと実質時給を見よ
華やかに見えるYouTuberの仕事だが、裏側では多くの時間とお金がかかっている。
特に個人で制作している場合、その負担は非常に大きい。
たとえば10分の動画を作る場合、以下の作業が必要。
・台本作成:2〜3時間
・撮影:1〜2時間
・編集:4〜6時間
・サムネイル制作・投稿準備:1時間
・SNS告知やコメント対応:1時間
合計9〜13時間。
再生1万回、CPM300円だと収益は3000円前後。
すると、実質時給は約230〜330円になる。
さらに編集を外注すれば、1本あたり5000〜8000円はかかる。
収益がそれを下回る場合、動画を出すたびに赤字になる計算だ。
今のYouTubeは「広告収益で生活する」には、もはや割に合わない。
だからこそ、副収益が前提となっている。
6. 3年前と今の比較まとめ(テキスト形式)
【3年前(2021〜2022)】 ・CPM:400〜600円
・月収(広告):30〜60万円
・動画寿命:半年〜1年以上
・視聴スタイル:集中型・フル視聴
・収益モデル:広告中心でも成立
【今(2024〜2025)】 ・CPM:150〜300円
・月収(広告):10〜20万円
・動画寿命:1週間が勝負
・視聴スタイル:倍速・ながら視聴
・収益モデル:外販・サロン・案件ありき
おわりに:数字の裏にある仕組みの差
数字だけを見ると、今でもYouTubeは夢のある世界に見えるかもしれない。
しかし、広告収益だけに頼る時代はもう終わっている。
これからのYouTuberは、「動画を使って何を売るか」「どう収益を設計するか」がすべて。
登録者数よりも、導線の設計力が問われる時代だ。
数字だけを追いかけるのではなく、収益の仕組みをつくること。
それが、3年前との決定的な違いであり、今の時代にYouTubeで勝つための唯一の道であると思う。
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