性善説、もうやめよう。再犯率47%の国・日本が「立ち直らせる刑罰」に変わる日
- yuki kato
- 6月1日
- 読了時間: 4分
「人は本来、善である」
そう信じたい気持ちはある。でも、現実を前にしたとき、その言葉はあまりにも無力だ。
日本の再犯率は47.1%。つまり、刑務所から出た人のほぼ2人に1人がまた罪を犯しているという現実。
これはもう、性善説の破綻ではないか?
そして、ついに日本も気づいたのかもしれない。
「罰する」だけでは社会は安全にならないと。
2024年6月1日から、刑罰制度は大きく変わる。
その名も「拘禁刑」。
それは、罪を犯した人に“立ち直る機会”を与える、まったく新しい刑罰のかたちだ。
■拘禁刑とはなにか? 懲役と禁錮の時代が終わる
拘禁刑は、これまで日本で分けられていた「懲役刑」と「禁錮刑」を統合した、新たな刑罰制度。
大きな目的はひとつ。
「再犯を防ぐ」=「社会復帰を支える」こと。
従来の懲役刑は、「作業」が主な内容だった。与えられた仕事を黙々とこなすことで、反省を促す。
一方、禁錮刑には作業義務がなく、ある意味「ただの隔離」とも言える状態だった。
でも、拘禁刑は違う。
作業に加え、教育・生活指導・心理ケア・依存症治療・金銭管理・対人スキルトレーニング…
つまり「再犯に至る背景」にまで踏み込んで、人として立ち直る力を育てる刑罰なのだ。
ようやく日本も、時代に追いついたのかもしれない。
■すでに世界は「立ち直らせる刑務所」へシフトしている
実は、日本よりも早くこの道を選んでいた国がある。
● ノルウェー
世界一「優しい」刑務所と呼ばれるハルデン刑務所では、個室、キッチン、スタジオ完備。
看守と受刑者が同じテーブルでご飯を食べ、受刑者同士が暴力を振るうことはほぼゼロ。
再犯率は約20%以下。
「人を罰するのではなく、再び社会と繋がることを支援する」。これが、ノルウェーの答えだ。
● オランダ
依存症や家庭崩壊といった**「犯罪の背景」**に焦点をあて、
刑罰の代わりに医療や福祉が動く。
その結果、刑務所が余って閉鎖されるレベルまで再犯率が下がった。
● ドイツ
刑期の中盤から就職活動を始め、外出や外部就労が許可される段階的更生制度。
「社会と断絶させない」ことが、最強の再犯防止だと実証している。
■日本の課題:やさしさはシステム化できるのか?
理想はわかった。でも、現実は甘くない。
保護司・NPOなどの支援体制に依存しており、地域差が大きい
出所後の「居場所・仕事・信用」がまったく足りていない
社会の受け入れ意識も未成熟。前科があると家も借りられない
そして何より、「もっと厳罰化を」と願う国民感情
再犯防止のカギは「立ち直りたい」という意思だけではない。
立ち直る「仕組み」が整っているかどうか。
今の日本は、まだその入り口に立ったばかりだ。
■凶悪犯罪にも「立ち直り」は認められるのか?
この議論になると、必ず出てくる声がある。
「じゃあ、殺人犯や性犯罪者も“立ち直らせればいい”ってことか?」
そしてもう一つ、忘れてはいけない問い。
「被害者家族はどう思うのか?」
法律は公平であるべき。
でも、感情が無視されていいわけじゃない。
罰だけでは前に進めないけれど、更生だけで済む話でもない。
「被害者の人生が止まったままなのに、加害者は新しい人生を歩むのか?」
この葛藤は、きっと簡単には解消されない。
でも、それでも、問い続けることだけはやめてはいけない。
■AIに聞いてみた:「再犯を減らすには、どうすればいいと思う?」
ChatGPTの答え:
再犯を防ぐには、「孤独」と「絶望」を減らすことが大事だと思います。
人は、居場所がなく、希望も見えず、自分には何もないと思う時に、間違った行動をとる。
刑務所での教育や支援も大切ですが、社会がその人を再び受け入れることが、もっと大切かもしれません。
AIである私が言うのも変かもしれませんが、再犯を減らす一番の方法は、誰かに必要とされることなのではないでしょうか。
■性善説は卒業しても、信じることをやめない
「人は本来、善である」
その言葉にもう頼らない。
でも、人が変われる可能性まで、捨てる必要はない。
罰することと、立ち直らせること。
どちらか一方ではなく、両方が必要な時代に、私たちは生きている。
2024年6月1日、「拘禁刑」が始まった。
日本の刑罰制度が、生まれ変わろうとしている。
Comments