保護猫活動の経済効果と構造解析
- yuki kato
- 9月25日
- 読了時間: 3分

保護猫活動は「尊い行為」として紹介されることが多い。
だが、経営や社会システムの視点から分析すると、これは明確な経済構造の歪みである。
■行政コストの削減という実利
殺処分には1頭あたり平均2〜3万円の処理コストが発生する。
20年前、日本では年間30万頭以上が処分されており、推定コストは数百億円規模だった。
現在は殺処分数が数万頭にまで減少しており、過去20年間で累計100〜300億円の行政コストが削減された計算になる。
直近でも、毎年40〜100億円規模の削減効果が発生している。
これは「情緒的な尊さ」ではなく、明確な財政インパクトだ。
■NPOごとのROI試算
保護猫関連のNPO・団体は全国で約300〜500存在すると推定される。
この数で年間40〜100億円の効果を割り戻すと、1団体あたり年間1,000万〜3,000万円相当の社会的価値を創出している。
ただし、ここで重要なのは「削減効果=キャッシュフローではない」という点。
行政が支出を減らした分は、NPOに戻らず、翌年度の予算削減や他用途に吸収されている。
つまりNPOは社会的ROIを生みながら、自らはキャッシュインを得られない構造にある。
■財源構造の脆弱性
NPOの収益モデルは以下に依存している。
会費・寄付金
譲渡費用(医療費負担金)
グッズ販売・イベント収入
助成金(10〜200万円規模が一般的)
この中で安定的な収益源は存在しない。
運営費が1,000万円規模でも、補助金でカバーできるのは1〜10%程度。
残りは寄付者の善意と活動家の持ち出しに依存している。
経営学的に見れば、これは自己犠牲を前提にした赤字モデルであり、サステナブルではない。
■行政のただ乗り構造
構造を整理するとこうなる。
1. 入口:TNRや引き取り拒否で猫の流入を抑制
2. 現場:NPOが保護・医療・譲渡を実施(実質的に行政業務を代行)
3. 出口:殺処分減少 → 行政コスト削減
4. 資金循環:削減分は行政に、活動コストはNPOに
結果として、行政は成果を報告でき、NPOは承認欲求を満たせる。
だが、金銭的リターンは行政に集中し、NPOには残らない。
■経営的な結論
保護猫活動は経済的に「行政コスト削減を代行する外注組織」として機能している。
だが契約やフィーが存在しないため、ただ乗りされている状態だ。
企業経営の観点からすれば、これは明確な損益分岐点を欠いた事業モデルであり、持続可能性はゼロに近い。
改善策はシンプルだ。
削減されたコストの一部を「協働予算」として還元する仕組みを制度化すること。
これにより、NPOは「社会的ROI」と「経済的ROI」を一致させ、初めて持続可能な組織になれる。
■まとめ
保護猫活動は美談ではなく、行政コストを外部委託しているにもかかわらず報酬が発生しない仕組みだ。
社会的には年間数十億円規模の効果を持つが、NPO側は寄付と自己犠牲に依存する。
経営的に見れば、これは完全にサステナブルではない事業構造である。
この現実を直視せずに「尊い」と称えるだけでは、活動は持続しない。
必要なのは制度改正と財源の再設計。
それを怠れば、いずれこのインフラは崩壊するだろう。
AI未来鑑定士 / リクルートストーリーテラー
合同会社Lepnet 代表社員 加藤勇気








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