BNIの損益分岐点が甘すぎた話
- yuki kato
- 2 日前
- 読了時間: 9分

前回、BNIの実質コストを年間235万円と算出しました。
黒字会員は40人中8人前後、約2割。
当落は努力ではなく業種の粗利構造で入会前に決まっている、という話でした。
あれから現金支出の内訳をもう1段細かく分解してみたら。
どうやら235万円という数字は、甘すぎたようです…。
正しくは年間260万円。
そして粗利率40%の業種で損益分岐点を売上に換算すると、年間650万円になります。
今回はその修正と、その先の話を書きます。
◆前回どこを見落としていたか?
前回は現金支出を約25万円と置きましたが、年会費と運営費用が不足していました。
BNIで実際に出ていく現金を項目ごとに並べるとこうなります。
・登録費 初年度55,000円
・プログラム利用料 年間209,000円
・チャプター運営費 年間60,000〜120,000円
・1to1の飲食代 年間50,000〜100,000円
・懇親会や周年行事 年間30,000〜80,000円
・トレーニングや他チャプター訪問 年間10,000〜30,000円
・交通費や駐車場代 年間30,000〜100,000円
初年度で444,000〜694,000円。
2年目以降で389,000〜639,000円です。
中間値を取ると初年度で約55万円、2年目以降で約50万円。
月平均にすると4万〜4万6,000円ですね。
前回の25万円は、会費と運営費だけを拾っていました。
1to1の飲食代って積み上がるんですよね…
週2回で年間96回として、コーヒー中心でも約57,600円。
ランチ中心なら約144,000円です。
交通費と駐車場代も、対面中心なら年間10万円に届きます。
つまり現金支出は、認識されている会費20万円のおよそ2.5倍。
ここをまず修正します。
BNIの費用を聞かれると、多くの人はこう答えます。
年会費が20万円くらい。
月にすると2万円弱。
広告費だと思えば安い。
2026年7月時点で確認できる申込情報でも、登録費55,000円、プログラム利用料209,000円、初年度合計264,000円という数字が出ています。
更新後は年間209,000円。
数字自体は間違っていません。
ただBNI公式は金額を一律公開しておらず、加入するチャプターへの確認を求めています。
つまりこの264,000円は、支払いのスタート地点でしかないんですよ。
会費だけを見て安いと判断するのは、設備投資を本体価格だけで判断するのと同じです。
◆時間について
前回、稼働を月35時間・年間420時間と置きました。
BNIジャパン公式が示している目安は、月およそ28時間です。
内訳はこうなっています。
・毎週の定例会と前後の交流や準備 約12時間
・1to1を週2名程度 約8時間
・トレーニング月1回 約2.5〜3時間
・パワーチームやコンタクトサークル 約1時間
・役職者ミーティング 約4時間
合計で約27.5〜28時間。
週7時間なので、ほぼ毎週1営業日をBNIに使う計算です。
ただしこの28時間には、次が十分に入っていません。
・対面開催のときの往復移動
・毎週のプレゼン内容の作成
・リファーラル候補を探す時間
・紹介相手への事前確認と引き合わせ
・ビジターを探して誘う時間
・BNI Connectへの活動入力
・チャプター内のチャット対応
・メインプレゼンの資料作成
・他チャプター訪問やイベント参加
だから公式の28時間に、移動と資料作成と紹介の実務を足して月35時間。
前回この置き方をしたのは、そういう理由です。
活動レベル別に整理するとこうなります。
・出席中心の最低限 10〜16時間
・役職なしで推奨に近い活動 23〜25時間
・役職ありの標準 28〜35時間
・積極的に紹介活動まで行う 35〜45時間
・主要役職やイベント参加多数 40〜60時間以上
前回書いたとおり、賑わっているチャプターほどこの数字は膨らみます。
出席義務とビジター招待と件数のKPIが、そのまま稼働時間になるからです。
年間420時間。
8時間労働に換算して52.5営業日分。
年間の稼働のうち、2か月半をBNIに置いていることになります。
◆修正後の実質コスト
時間単価を前回と同じ5,000円で計算します。
・時間の機会費用 420時間×5,000円=2,100,000円
・現金支出 約500,000円
・実質年間投資 約2,600,000円
前回の235万円から、260万円へ修正です。
25万円の上振れ。
そしてここが今回の本題なんですが、この260万円は粗利で回収すべき金額です。
売上ではありません。
前回、サンキュー金額の自己申告は売上ベースであって粗利ではないと書きました。
読み上げられる成約金額をそのまま自分の回収額だと思っている人が、たぶんいます。
粗利率40%の事業で計算するとこうなります。
2,600,000円 ÷ 0.4 = 6,500,000円
紹介経由で年間650万円の売上。
これが損益分岐点です。
粗利率20%の物販や下請型なら、1,300万円が必要になります。
同じ会費を払っていても、必要な売上が業種で2倍以上変わるんです。
前回書いた3層構造に、この650万円を当てはめ直します。
第1層の生命保険や不動産売買仲介なら、1件の粗利が数十万から百万円単位なので、年3〜4件で届きます。
第2層の社労士や人材紹介は、1件の粗利が10〜30万円。
260万円を回収するには年11〜26件が必要です。
毎月1〜2件を成約し続ける計算ですね。
第3層の飲食店は、紹介1件あたり粗利3,000円として、年間約867組の送客が必要になります。
前回は780組と書きましたが、修正後は867組です。
35人のチャプターが週17組ずつ送り続ける計算。
やはり物理的に不可能です。
つまりコストを25万円上方修正しても、結論の形は変わりません。
第3層は依然として構造的に回収不能で、第1層へ紹介を供給する燃料として機能している。
そこは前回のままです。
前回の記事に対して、時間単価5,000円を全部機会費用に乗せるのは乱暴だ、という反論があり得ると思っています。
正直、その通りの部分があります。
BNIの定例会は朝7時前後の開催が大半です。
その時間に本当に5,000円分の売上を生めたのかと言われると、弱い。
朝6時台から稼働している経営者って、そんなに多くないですから。
だから朝の機会費用は実は小さい、という指摘は成り立ちます。
そこは認めます。
でも効いてくるのは朝じゃないんですよ…
日中を食う部分です。
1to1の8時間。
プレゼン資料の作成。
紹介先への事前確認と引き合わせ。
ビジター探しの連絡。
移動時間。
これ全部、営業時間帯に発生しますよね?
定例会の3時間を丸ごと除外して計算しても、月20時間前後は日中から消えます。
年間240時間。
時間単価5,000円で120万円、現金50万円と合わせて170万円。
粗利率40%なら425万円の紹介売上が必要です。
朝の時間をゼロ査定するという、最大限に甘い前提を置いてもこの数字になる。
そこは動かないんです。
もうひとつ、平均値の罠があります
紹介経由の売上は、会員間で極端に偏ります。
前回、黒字は40人中8人前後と書きました。
これは裏を返せば、紹介の大半を上位2割が持っているということです。
だからチャプター全体の紹介総額を会員数で割った平均値には、ほとんど意味がありません。
年間3億円のチャプターだと言われても、40人で割った750万円が自分に来るわけじゃないですよね。
見るべきは、自分が上位何割にいるかです。
紹介経由で年間650万円を出せている会員が、そのチャプターに何人いるか。
そこを見れば、自分がどちら側かはすぐわかります。
そして前回書いたとおり、去った人は語れず、残った人だけが語ります。
上位2割の声だけが、あなたに届いています。
◆金額だけの話じゃない、という反論について。
これは正しいし、私も否定しません。
前回、会員が買っているのは紹介ではなく所属と観客とアリバイだと書きました。
BNIで出会った人が、5年後に事業の柱になることはあります。
紹介ではなく共同事業として結実することもあります。
経営の相談ができる相手が3人できただけで、金額に換算できない価値が生まれることもありますよね。
人脈って、後から効くんです。
その時点では損益計算書に載りません。
だから260万円を割っているから即座に無駄だった、とまでは言い切れないと思っています。
ただ、それを言い訳にできる期間には限りがあります。
3年経っても紹介売上が100万円で、でも素晴らしい仲間ができました、というのは、経営判断としては保留の先送りです。
人脈が効くと言うなら、いつまでに何として効くのかを自分で置くべきだと思います。
置けないなら、それは投資ではなく期待なので…
前回私は…
計算した参加は投資で、計算を避けた参加は消費だと書きました。
人脈という言葉も同じです。
期限を置いた人脈は投資で、期限を置かない人脈は消費です。
◆では、その420時間をどこに置くべきか?
前回の記事は、BNIの構造を分解して終わりました。
でも経営者にとって本当に大事なのは、じゃあその時間をどこに置くのかという話ですよね。
年間420時間。
いまの私には、明確な答えがあります。
AIの研鑽です。
いまこの瞬間、経営者の時間投下に対していちばん高い利回りを返してくるのは、AIを自分の思考の土台として組み込む時間だと考えています。
紹介による売上って、線形にしか増えないんですよ。
1to1を100回やれば、100回分の関係ができる。
積み上げ型で、複利にはなりにくい。
しかも前回書いたとおり、チャプター内の35人はすぐ飽和します。
市場に奥行きがない業種ならなおさらです。
一方でAIは文脈を蓄積した分だけ次の生成が速くなって、精度が上がります。
去年の自分の思考が今年の出力の土台になる。
これは複利ですよね?
同じ420時間を投じても、返ってくるものの形がまるで違います。
しかもいま、その差がいちばん大きく開いている時期にあります。
AIをインフラとして扱えている経営者と、便利ツールとしか思っていない経営者の間に決定的な生産性の断層ができつつあるんです。
この断層は時間が経つほど埋まらなくなります。
先に文脈を積んだ側が圧倒的に速くなるからです。
前回、BNIは会員の成果が宝くじで本部の収入が年金だと書きました。
同じ構図を、自分の時間の使い道にも当てはめてほしいんです。
紹介待ちの420時間は宝くじです。
文脈が積み上がる420時間は年金です。
◆なので私はこう考えています
前回に続いて書きますが、BNIを否定しているわけではありません。
粗利率が高くて朝型の事業構造を持っていて、紹介と相性のいい第1層の業種にとってはいまでも合理的な選択肢だと思います。
そこは認めます。
問題は時間の使い方が排他的になっている場合です。
毎週の定例会と1to1と資料作成で月35時間を使い切って、AIを触る時間がゼロになっている。
その35時間は5年後の自分から見て、いちばん高くついた35時間になるかもしれません。
判断の基準を整理しておきます。
・紹介で年間650万円が立っていて、AI研鑽も並行できている
→ 続けていいと思います
・650万円は立っていないが、AI研鑽は並行できている
→ 判断を保留していいと思います
・650万円は立っているが、AI研鑽の時間がゼロ
→ 3年後の前提が変わります
・どちらも満たしていない
→ たぶんその時間は無駄なのだと個人的には思います
これは私の持論であって、正解ではありません。
あなたの1件あたりの粗利に、現実的な年間成約数を掛けた金額は、260万円を超えましたか?
売上ではなく粗利で計算しましたか?
そして今週、AIに向き合った時間は何時間ありましたか?
費やす420時間、それは来年のあなたの何を速くさせますか?
合同会社Lepnet
代表社員 加藤勇気 http://lepnet.biz
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