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なぜ7月5日大災難説はここまで広まったのか たった1冊の漫画から社会がざわつく構造

  • 執筆者の写真: yuki kato
    yuki kato
  • 6月12日
  • 読了時間: 5分

2025年7月5日に大きな災害が来る──そんな話が今、SNSを中心に妙に広がってる。


ただの都市伝説でしょ、と思うかもしれないけど、実際に旅行キャンセルが相次いだり、航空会社が便数を減らしたり、行政までコメント出していたりする。

不思議なことに、これが「ただの噂」で終わっていない。現実に人の動きが変わってる。


発端は、たった1冊の漫画。

でもそれが「ここまで大きくなる理由」は、ちゃんと構造として存在している。


誰が火をつけて、どんなルートで拡がって、なぜ今こんなに人の心を掴んでいるのか。

その全体像を、時系列と共に見ていこう。




■発端は、ただの“夢の記録”だった


話の元になっているのは、1999年に出版された『私が見た未来』という漫画。

作者・たつき諒が、自分の夢を記録して描いたオカルト寄りの短編集だ。


この本が注目されたのは後になってからで、表紙に書かれていた一文が引っかかった人が多かった。

大災害は2011年3月。


そう。東日本大震災と一致してる。


偶然といえば偶然だけど、人はこういう一致を見つけると、つい「予言だったのかも」と思ってしまう。

そこからこの本が“当たった本”としてじわじわ話題になり、2021年に再出版される。


そして、問題の「2025年7月5日」という日付が出てくるのは、この再出版された完全版の中。




■2025年7月5日という“日付”が、一人歩きを始める


完全版の中で描かれていたのは、7月5日に大災難が来るという夢の内容。

海底の爆発、巨大津波、都市の壊滅、隕石かもしれない、というような、災害ビジュアルが頭に浮かぶようなものばかり。


しかも「7月5日」とピンポイントで日付が出ている。

こういうのって、人の想像力を刺激するし、シェアされやすい。


加えて、「前に当たったことがある」という実績がある。

それが“信じる理由”になってしまう。


この日付が、SNS上で独り歩きを始めるのに、そんなに時間はかからなかった。




■拡散の火種は、日本じゃなかった


おもしろいのは、これを最初に本格的にバズらせたのが日本じゃなかったってこと。


2024年の後半から、台湾や香港のYouTuber、TikTokerがこの予言を取り上げて拡散し始めた。

老高與小茉とか、馬臉姐とか、現地では知られた都市伝説系インフルエンサーたちが取り上げて一気に火がついた。


それが中国語圏のSNS(DcardとかWeibo)で加速。

結果的に、訪日予定の観光客のキャンセルが増え、香港からの便が減便されるまでに発展。


こうなると、もうニュースになる。

そしてニュースになったことで「やっぱり7月5日は何かあるかもしれない」と思う人がさらに増える。


これが、情報が現実をつくる瞬間。

火がついて、燃えて、現実の行動に影響を与え始める。




■SNSと報道が噛み合うと、都市伝説は現実になる


2025年に入ると、日本国内でも一気に拡がる。

スピリチュアル系のインフルエンサーや都市伝説YouTuberたちが次々とこの話題に乗っかり始める。


NAOKIMANが動画で取り上げたことで、英語圏にも拡がる。

風水師、霊視系の人、さらには理論物理学者までが「7月5日は危ない」と補足するようになっていく。


ジャンルの違う人たちが、同じ話をそれぞれの視点で語ると、なんとなく「本当っぽく」聞こえる。

この雰囲気が、予言に“裏付け”を持たせてしまう。


そしていつの間にか、「信じる・信じない」じゃなくて、「みんなが気にしていること」になってしまう。




■人はなぜ、こういう予言に反応してしまうのか


これには、いくつかの理由がある。


ひとつは、日付が明確なこと。

人は、曖昧な不安より「〇月〇日になにかが起きる」と言われるほうが、逆に安心したりもする。備えができるから。


もうひとつは、過去に“当たった”実績。

一度信じてしまうと、次も信じたくなる。


そして、描写が映像的。

津波や都市崩壊、隕石といったイメージは、映画みたいに頭に残る。だから人に話したくなるし、SNSでも拡がりやすい。


それに、今の社会状況。

コロナ後、戦争、災害、物価上昇…。漠然とした不安があって、未来に希望よりも「何か起こりそう」な感覚を持っている人が多い。


そんなタイミングで、「これから何が起こるかを知っているかもしれない人」が出てきたら、気にならないはずがない。



■実はこの流れ、何度も繰り返されている


この手の「予言ムーブメント」は、別に今回が初めてじゃない。


1999年のノストラダムス。

2012年のマヤ暦終末説。

東日本大震災後の人工地震説。

コロナ禍でのワクチン陰謀論。


どれも「日付がある」「信じられそう」「社会が不安定」という条件が揃っていた。


たつき諒の予言も、この系譜の中にある。

過去と同じ構造が、また動いているだけ。




■予言とは未来を当てるものじゃなくて、今の不安を映す鏡


7月5日に何が起こるかは、誰にもわからない。

けど、その日を信じて行動してる人が実際にいることは、もうすでに“起きている事実”だ。


予言って、未来のことを当てるツールじゃないと思っている。

今の不安を、言葉にして代弁する装置なんだよね。


だからこそ、「信じるかどうか」じゃなく、「なぜ人が信じるようになったか」を観察する方が、よっぽど実践的だと思う。


その構造が見えると、予言に飲み込まれるんじゃなくて、備える側に回れる。


未来は誰かに言い当ててもらうものじゃなくて、自分で迎えに行くもの。

その立ち位置を忘れずに、冷静にいこう

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