また明日、世界が変わる話。
- yuki kato
- 8月7日
- 読了時間: 4分

■ AIは考えるだけじゃ動かない
GPT-5が2025年8月8日午前2時に発表されると報道された。
待ち望まれてきた大型アップデートであり、世界がまた一段ギアを上げる瞬間だ。
ただ、ここで一つ冷静に問い直したい。
いくら賢くなっても、そのAI、ちゃんと使い分けてますかね?
性能が上がるほどに、設計力の差が露わになる。今はそういうフェーズに入った。
万能モデルに夢を見てるだけじゃ、現場は回らない。
その理由を、あらためて共有しておきたい。
■ GPT-5が示すものは思考力より組み合わせ力
今回のGPT-5は、より高速な応答、感情表現を含むマルチモーダル対応、継続的な文脈保持(Memory)などが期待されている。
つまり、人間のように会話し、人間のように考え、人間のように話す。
ここまで来たか、という印象すらある。
けれど現場で使っていると、こうも感じる。
あれこれ考える前に、とりあえず決めてくれ。動いてくれ。
そう思ったこと、正直あるでしょ?
■ LLMはコンサルタント。SMLは職人。
GPT-4やGPT-5のような大規模AIモデルは、LLM(Large Language Model)と呼ばれる。
対して、SML(Small or Specialized Model)は、小型もしくは業務特化型のAIモデルだ。
両者の違いを一言で言えば、LLMは考える、SMLは決める。
LLMは情報を整理し、背景を捉え、代替案を提示してくれる。頼れる。でも話が長い。
SMLは条件を満たせばYes、違えばNo。迷わずに判断してくれる。
要するに、LLMは戦略会議で頼りたい存在、SMLは現場で即断即決してくれる職人。
実務の世界では、どちらも必要だ。
■ NVIDIAが語ったSMLの未来
GPUのトップ企業・NVIDIAがこう語った。
これからはSMLの時代になる、と。
彼らが研究レポートや公式発信で繰り返し強調しているのは、
大規模モデルをすべての業務に使うのは非効率だという指摘だ。
・小型モデルの方が速くて軽くて安い
・ローカル環境で動作できるのでセキュリティリスクも低い
・タスクごとにSMLを使い分けることで全体最適が実現できる
NVIDIAは明確に言っている。
LLMはすべてを担う司令塔ではなく、必要なときに呼び出す存在になるべきだと。
これは見方によっては、企業組織と同じ構造だ。
■ 私の現場での使い分け設計
私はAIを活用した業務設計や自動化支援を複数の企業で行っている。
実感として、LLMだけで回そうとすると破綻する。
実務での分担はこんな感じだ。
・履歴書のスコアリング → SML
・面接案内メールの生成 → LLM
・社内規定Q&Aの対応 → SML
・NotionやPDFをもとに回答する → RAG構成
・占い鑑定の解説文生成 → LLM
・命式の条件判定と相性判定 → SML
要するに、考えさせたいことはLLMに任せて、
瞬時に判断させたいことはSMLに振っている。
これを一体のAIに全部やらせたら、スピードもコストも現場感も壊れる。
■ SMLの強みは黙って結果だけ出すところ
SMLの利点は、正確さ、速さ、軽さ、コストゼロ、そしてオフライン運用が可能なこと。
・セキュリティを気にする医療現場
・通信が安定しない物流センター
・とにかく即答が求められる現場対応
こういったシーンでは、GPT-5でさえ過剰スペックになる。
SMLは余計なことを言わない。
それが、信頼につながるときもある。
■ GPT-5の熱狂の裏で、設計できる人間が試される
AIの進化は止まらない。GPT-5が来ても、さらに凄いものが出てくるだろう。
けれど重要なのは、どのモデルが強いかではない。
どこで何を使い、どう連携させるかを設計できるかだ。
NVIDIAはそこを明確に言語化した。
私はそれを、現場で実感している。
大きいAIが使えることは、もはや当たり前。
これから問われるのは、AIをどう分けて動かすかの構成力だ。
■ 終わりに
GPT-5に期待するのは当然だと思う。
でも、すべてを万能AIに投げる時代はもう終わっている。
AIを使いこなす側に立ちたいなら、
SMLという黙って仕事をこなすAI職人の存在に目を向ける必要がある。
でかい脳みそより、よく動く手足が必要なとき。
そのとき、どんなAIを配置するか。
それを決められる人間が、これからの現場を動かしていく。
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