TemuやSHEINが異常に安い理由
- yuki kato
- 8月3日
- 読了時間: 4分

中国発の激安通販に隠された3つのカラクリ
■これ、本当に利益出てるの?
100円でピアス、300円でトップス。しかも送料無料。
TemuやSHEINを見て、こんな疑問を持ったことはありませんか?
・なんでそんなに安いの?
・送料かけて海外から送ってるのに、赤字じゃないの?
・届くのに少し時間かかるけど、それでも得じゃん…?
じつは、これらの疑問にはちゃんと理由があります。
理由を知ると「安すぎるのは仕組みのせいだった」と腑に落ちるはずです。
この記事では、中国発の激安通販が成立しているカラクリを3つの視点から解説します。
1. 万国郵便条約の優遇措置
TemuやSHEINが送料をゼロにできるのは、特別な国際ルールを使っているからです。
それが「万国郵便条約」です。
これは世界の郵便制度を統一するための国際協定で、発展途上国を優遇する仕組みになっています。
そしてここがポイント。
そう…中国って【発展途上国】なのです。
この条約上では、中国はまだ発展途上国扱い。
そのため、日本をはじめとする先進国に比べ、国際郵便の料金がものすごく安くなっているのです。
具体的には、中国から2kg以下の小型荷物を日本へ送る場合、日本側の送料負担がかなり大きく、実質的に中国の事業者は格安で国際配送を実現できます。
つまり、TemuやSHEINが「送料無料」で商品を発送できるのは、この制度を最大限に活用しているからなのです。
2. 仲介を排除した製造直販モデル
次に注目したいのは、流通の仕組みです。
TemuやSHEINでは、商品が仲介業者を通さず、直接消費者に届きます。
これが意味するのは、次のようなコストカット。
・卸業者を通さない
・ブランドの中間マージンがない
・国内の人件費や店舗費用もゼロ
しかも、これらの企業は「トレンド商品を最小ロットで投入し、売れたものだけ量産する」という戦略をとっています。
いわゆるテスト生産→即反映のPDCA型供給体制。
この方式なら、大量に作って売れ残るリスクもないし、失敗コストも最小限。
結果として、数百円で販売しても十分利益が出る仕組みになっているのです。
3. 倉庫を持たないオンデマンド出荷
普通の通販会社は、商品を大量に仕入れて倉庫にストックし、そこから配送します。
しかしTemuやSHEINは違います。
彼らは、注文が入ってから製造やピッキングを行い、直接海外の倉庫から発送する「オンデマンド配送」を基本としています。
この方式には次のようなメリットがあります。
・巨大倉庫の維持コストがかからない
・商品の劣化や陳腐化のリスクがない
・在庫ロスが最小限に抑えられる
配送に数日〜10日程度かかるのはそのためですが、それでも価格の安さに惹かれる人が多いのが現実です。
■激安の裏側にある不公平
ここまで読むと「すごい仕組みだな」と思うかもしれません。
ただし、この構造には批判もあります。
・送料の一部を先進国が負担している
・中国の労働環境や倫理面に懸念がある
・知的財産権やコピー商品の問題が絶えない
・国内企業が同じ土俵で戦えない不平等な市場
実際にアメリカは一度この制度に抗議し、条約からの離脱を表明した過去もあります。
結局、部分的にルールが改訂されましたが、根本的な構造は今も変わっていません。
■その安さ、誰が支払っている?
TemuやSHEINがあれだけ安く商品を提供できる理由は、次の3つ。
1. 万国郵便条約による送料の優遇
2. 仲介を排除した製造直販モデル
3. 倉庫レスのオンデマンド型サプライチェーン
この3点が組み合わさり、価格破壊が可能になっているのです。
でも、それは決して魔法ではありません。
目に見えないコストや、他国に偏った負担の上に成り立っている側面もあるのです。
今後、この構造がどう変わっていくのか。
そして私たちがどんな価値基準で買い物をしていくのか。
ちょっとだけ立ち止まって考えてみるのも、今の時代に必要な感覚かもしれません。
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