不倫脳が語る真実の愛とは何なのか? 〜感情か?執着か?それとも現実逃避か〜
- yuki kato
- 6月2日
- 読了時間: 4分
これが本当の愛なんだよ
この人だけは、自分をちゃんと理解してくれる
出会ってしまったんだよね、運命の人に…
不倫関係にある人が、口を揃えてこう語ることがある。
その言葉には確かに切実さがある。けれど、それは果たして真実の愛なのか?
それとも、脳が仕掛ける錯覚や逃避に過ぎないのか?
このブログでは、心理学・脳科学・哲学・現実的な関係構築の視点から、
不倫中に語られる真実の愛と、本当の意味での真実の愛の違いを解剖する。
■不倫脳が信じる愛のロジック
不倫にハマる人の多くは、次のような言葉を口にする。
・一緒にいると癒される
・家では出せない素の自分でいられる
・この人といると人生が前向きになれる
これらは確かに感情としてのリアルだろう。
けれど、その背景にあるのは、
・家庭での摩耗や不満
・非日常の高揚感
・新鮮さとスリル
・理解されたい、特別でありたいという欲求
といった、一時的な条件の重なりであることが多い。
■真実の愛とは何だったか?再確認しよう
真実の愛とは、
自由を許したうえで、それでも繰り返し選び直される関係のこと。
これは、スタンバーグ博士の愛の三角理論によれば、
・情熱(ドキドキ)
・親密性(信頼)
・コミットメント(継続の意志)
この3つがバランスよく存在する関係こそが、本物に近いとされる。
一方、不倫関係では情熱が先行し、親密性やコミットメントが曖昧なことが多い。
燃え上がる感情だけを真実と勘違いしてしまうリスクがある。
■なぜ不倫が真実のように感じるのか?
1. 非日常という舞台装置
限られた時間と空間。秘密を共有するスリル。これが脳に強い快感を与える。
2. 比較対象のズレ
長年のパートナーとの摩耗関係 vs はじまったばかりの恋
感情の新しさが正しさに見えてしまう。
3. 承認欲求と補償行動
自分を認めてくれる存在に出会ったことで、ようやく救われたと感じる。
でもそれは、自己価値の外注に過ぎないこともある。
■学術的検証:不倫感情の正体は脳と心理のハック?
では、これを研究ベースで見ていこう。
● 1. ドーパミンとリスクの関係
神経科学者ヘレン・フィッシャー博士は、恋愛初期における脳内物質の分泌(ドーパミン、PEA)が、高揚感や中毒性を生むと示している。
特にリスクを伴う恋愛(不倫)は、報酬系が強く刺激されることが知られている。
簡単に言えば、危険な関係ほど気持ちが盛り上がるという錯覚。
● 2. ロミオとジュリエット効果
社会心理学者ダリオ・アーチャーらの研究では、外部からの妨害が恋愛感情を強める傾向が示された(Aronson et al., 2005)。
反対される恋ほど燃えるのは、制限が感情を強化するから。
● 3. サンクコスト効果と恋愛の自己正当化
行動経済学者ダニエル・カーネマンの理論では、時間や感情を注いだものほど、正当化したくなる心理がある。
ここまで傷ついたんだから、これは本気でしょと思い込みやすくなる構造が存在する。
● 4. 逃避的恋愛(エスケープラブ)
精神分析の観点ではエスケープラブという概念があり、現実逃避としての恋愛にハマる心理が存在する。
家庭での不満・孤独・役割疲れなどから一時的に抜け出すために、恋愛に意味を見出そうとする。
■それでも真実の愛と言うなら、覚悟を持て
これは真実の愛だと信じること自体を否定するつもりはない。
ただし、それが選ばれた関係であるなら、選び抜く責任を持ってほしい。
・配偶者と向き合い、傷を最小限にして別れられるか?
・社会的な責任、経済的なリスクを背負ってでも一緒にいられるか?
・相手が去ったとき、ありがとうと言える強さを持っているか?
これらにYESと答えられる人だけが、真実の愛という言葉を使ってもいい。
■不倫関係の奥にある本当のテーマ
不倫という行為の裏側には、誰かとつながりたい、わかってほしい、救われたいという
人間の根源的欲求が潜んでいる。
でもそれは、その相手じゃなきゃいけない理由とは別問題だ。
癒されたいのか、愛されたいのか、それとも自分自身を取り戻したいのか。
自分の欲望の構造を見抜けたとき、この関係に何を求めていたのかがようやく明らかになる。
■ベストではなく、ベターな選択をするべき。
真実の愛とは、燃え上がる感情ではなく、
日常のなかでこの人とまた明日もいたいと思えることの積み重ね。
不倫関係にその感情を見出したなら、
それを現実の選択として引き受ける覚悟が必要だ。
逃げ場としての愛は、いつか行き止まりになる。
でも、選び抜かれた愛には、人生を変える力がある。
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