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【モームリ】弁護士に顧客を繋いで報酬を得ると、なぜ違法になるのか?

  • 執筆者の写真: yuki kato
    yuki kato
  • 10月22日
  • 読了時間: 3分
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モームリが弁護士法違反の疑いで家宅捜索を受けたという報道が出ました。

退職代行業界で急成長を遂げた企業が、なぜ捜査対象になったのか。

表面的には「弁護士紹介料」という単語が原因のように見えますが、その裏にはビジネス構造の根本的な問題があります。


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■弁護士法が禁止する「周旋(あっせん)」とは


弁護士法第74条は、「弁護士に事件を周旋して報酬を得てはならない」と定めています。

つまり、弁護士を紹介して紹介料をもらう行為は、弁護士資格のない者には禁止されているのです。


今回のモームリのケースでは、退職希望者(顧客)を弁護士に繋ぎ、その紹介料を弁護士側から受け取っていた疑いがある。

この構造が「弁護士法違反の疑い」とされている理由です。


弁護士法は、弁護士資格を持たない者が報酬目的で法的紛争の仲介を行うことを厳しく制限しています。

なぜなら、それは「法律の専門職を金銭で取引する」形となり、司法の独立性を損なう恐れがあるからです。


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■退職代行サービスのグレーゾーン


退職代行サービスは、もともと「本人の意思を伝えるだけ」であれば合法とされています。

しかし、退職交渉に踏み込んだり、会社側と条件の調整を行うと、それは弁護士の独占業務である「代理交渉」に該当します。


この領域を越えて活動していた場合、「非弁行為(弁護士でない者による法律行為)」となり違法です。

モームリは「弁護士と連携して安全にやっている」というイメージを打ち出していましたが、その実態が「紹介料の授受」まで含んでいた可能性がある。

そこが今回の焦点です。


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■合法にするためのビジネス設計とは


同様のサービスを提供する企業でも、合法的に運営している例はあります。

たとえば、以下のような構造です。


・弁護士とは月額顧問契約を結び、案件単位ではなく包括的に監修を受ける

・依頼者が自ら弁護士を選択できる仕組みを整え、紹介料の授受を排除する

・弁護士が行うのはあくまで法的助言や交渉であり、企業側は事務代行に限定する


ポイントは「報酬の流れ」と「関与の範囲」を完全に透明化すること。

もし報酬が発生するなら、その対価が「紹介」ではなく「広告掲載料」「監修費」など明確に位置づけられていなければなりません。


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■AI・代行サービス時代の境界線


AI時代の今、さまざまな代行ビジネスが急増しています。

しかし、法的・倫理的な境界線を理解しないまま拡大すると、モームリのようなリスクを抱えることになります。


「非弁行為」や「職業紹介法違反」「特商法違反」など、複数の法律が交差する分野では、報酬設計と役割分担を丁寧にデザインすることが不可欠です。


退職代行・契約代行・クレーム代行・AI顧問サービス――これらはすべて、弁護士業務や行政書士業務と隣り合わせにあります。

境界を知らずに進めると、社会的信頼を一瞬で失う。

逆に、その境界を正確に理解した上で設計すれば、合法かつ革新的なビジネスモデルに進化できます。


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■今回の事件が投げかけた本質的な問い


「弁護士に顧客を繋ぐ」という一見シンプルな行為が、なぜ法律で禁止されているのか。

それは、法的トラブルをビジネスの手段にすることへの警鐘でもあります。


AIや代行の力で誰もが簡単に専門家を紹介できる時代だからこそ、私たちは「倫理と構造」を再定義しなければならない。

モームリの件は、業界全体にとってのリスクであると同時に、健全なビジネス設計を学ぶ貴重な機会です。


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合同会社Lepnet 代表社員 加藤勇気


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