喪黒福造はあなたのココロのスキマを埋めてきます
- yuki kato
- 6月12日
- 読了時間: 3分

ドーン!
喪黒福造という男をご存じでしょうか?藤子不二雄A先生が生んだ、黒スーツに異様な笑顔のセールスマン。彼の営業トークはたった1つ。
「あなたのココロのスキマ、お埋めします」
しかも無料です。契約書もノルマもクーリングオフもありません。彼はただ、寂しい人、満たされない人、ちょっとだけ欲張りな人の前に現れて、優しく願いを叶えてくれるだけ。
その後、登場人物はほぼ全員破滅します。
なぜでしょうか?
ここが藤子A先生の天才たる所以なんですよ。
喪黒は何も強制していません。約束をひとつ提示するだけです。「これ以上は欲張らないでくださいよ」と。
そしてほぼ100%の確率でその約束を破る。ドーン!は罰ではなく、自分の欲望が暴走した結果です。
つまり喪黒福造とは、悪人ではなく鏡なんです。
さて、ここからが本題です。
漫画の話、と言いきれない。
喪黒は現代において絶賛増殖中です。しかも今どきの喪黒は、黒スーツなんて着ていません。もっとオシャレで、もっとフレンドリーで、もっと手のひらの中にいます。
・寂しさのスキマには、推し活と課金ガチャがすっと入ってきます
・承認欲求のスキマには、SNSのいいねが秒で届きます
・将来不安のスキマには、今だけ限定の高額セミナーが満面の笑みで待っています
・考えるのが面倒というスキマには、なんでも答えてくれるAIが24時間営業中です
全部、入口は無料か格安。
全部、欲望に火をつけるだけ。
全部、破滅するときは自分の意思でボタンを押している。
完璧な喪黒スキームです。
昭和の喪黒は1話につき1人しか担当できませんでしたが、令和の喪黒はアルゴリズムなので、同時に数億人の心のスキマを埋められます。
生産性が違いますね。
働き方改革の鑑です。
中でも特徴的なのは、AIです。
私はAI推進派です。
むしろAIは思考の土台として毎日使い倒しています。
問題はAIそのものではなく、使い方なんです。
「考えるのって疲れるなあ」という心のスキマに、AIはぴったりはまります。
質問すれば答えが出る。
悩まなくていい。
判断しなくていい。
ああ、なんて快適なんだ…。
そして気づいたときには、自分の頭で考える筋肉がごっそり落ちている。AIの答えが正しいかどうかを判断する力すら、AIに聞かないとわからなくなっている。
ドーン!
喪黒は約束を破った人間にしか制裁を加えませんでした。現代の喪黒たちも同じです。
道具に使われるな
自分の頭を手放すな
この約束さえ守れば、AIもSNSも最高の相棒なんです。
では、どうすればいいのか?
答えは意外とシンプルで、スキマを埋めてもらう前に、自分のスキマの形を自分で知っておくことだと私は思っています。
寂しいのか
認められたいのか
考えるのが面倒なのか
不安なのか
自分のスキマの形がわかっていれば、そこに何かがすっと入ってきた瞬間に気づけます。
「お、来たな喪黒」と。
気づいてさえいれば、サービスを受け取るか断るかは自分で選べる。
逆に自分のスキマに無自覚な人ほど、埋めてもらった瞬間に「これは運命の出会いだ」と感動してしまう。喪黒のお得意様コースまっしぐらです。
藤子A先生がこの構造を描いたのは1980年代。SNSもスマホもAIも存在しない時代に、心のスキマビジネスの普遍構造を見抜いていたわけです。
技術は変わっても、人間のスキマは1ミリも変わっていない。
だからこの作品は古びない。
最後にひとつ。
この記事を読んで「なるほど、気をつけよう」と思ったあなたの、その安心感。それもまた、ひとつの心のスキマかもしれませんよ?
オーッホッホッホ。
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