並んでも体験できないテーマパーク|ジャングリアの構造的ミスをディズニーとUSJと比較してみた
- yuki kato
- 8月4日
- 読了時間: 4分

沖縄にテーマパーク「ジャングリア」が誕生。
恐竜をテーマにした世界観、派手な広告、非日常体験のうたい文句。たしかに話題性はあった。
でもオープン直後から、SNSにはネガティブな声があふれた。
地獄の待機場。何時間も並んだのに何もできない。炎天下でスマホも飲み物も預けさせられる。
これは一時的なトラブルじゃない。構造そのものに無理がある。
この記事では、テーマパークの裏側にある処理能力と設計ロジックからジャングリアの問題をあぶり出す。
そして、東京ディズニーランドやUSJと比較しながら、どこに致命的な差があるのか、今後どう立て直せばいいのかを提案してみる。
■ジャングリアの構造的な問題とは
ジャングリアの最大のミスは、来場者数と処理能力のバランスを見誤ったことにある。
公式には1日1万人の来場を想定しているが、主要アトラクションの処理能力を全部足しても、1日で対応できるのは約4千人ちょっと。
つまり半分以上の人は、何も体験できずに帰る可能性が高い。
アトラクションに乗れないのは、運が悪いからでも、並ぶのが遅かったからでもない。
最初から、全員が体験できるような設計になってない。
このギャップが炎上の根本原因。
構造上、捌けないのに、広告では非日常の体験を約束する。
現地では1時間以上並ばされ、乗れなかったり、バギーが止まってスタッフが押したりする始末。
もはやテーマパークというより、耐久イベントに近い。
■ディズニーやUSJとの決定的な違い
じゃあ他の人気テーマパークはどうか。
東京ディズニーランドには約40のアトラクションがある。
1つあたり平均的に見て、1日に7万人程度を捌ける処理構造になっている(フェルミ推定だけど精度は高め)。
USJも同様に、アトラクションが多く、Expressパスや整理券を活用してうまく捌いている。
つまり、ディズニーやUSJは「混んではいるけど、乗れないわけじゃない」。
一方でジャングリアは「混んでいて、しかも乗れない」。
この違いはでかい。というか、致命的。
ディズニーやUSJは、導線・快適性・日陰やベンチなど、待つための環境まで設計されている。
ジャングリアは、そこが丸ごと抜け落ちている。
汗だくでスマホも飲み物も預けさせられて、行列の果てに体験できないとなったら、そりゃ誰でも怒るよね。
■ジャングリアが今すぐやるべきこと
まず、体験できなかった人への補償を明確にすること。
整理券を導入して「今日は何に乗れるか」を事前に可視化しよう。
そのうえで、体験できなかった人には、次回無料・返金・ドリンク券配布など、ちゃんと誠意を見せる仕組みが必要。
あとは環境整備。
炎天下に長時間並ばせる設計は、今の時代アウト。
日除け、休憩スペース、無料給水機くらいは最低限整えておかないと話にならない。
さらに体験数を稼ぐために、ショー形式や短時間で回せるコンテンツを追加すべき。
例えば恐竜の骨を探すミニ発掘体験、恐竜をテーマにしたフォトスポットやクイズラリーなど。
高コストでバギーやVRを増やすより、軽めで回転率の高い体験を複数用意する方が圧倒的に効く。
■中長期的に見直すべきポイント
いまのままだと、ジャングリアは「一度行けば十分」な施設で終わってしまう。
そうならないためには、テーマ全体をもう一度設計し直す必要がある。
恐竜×ジャングルだけでは、没入感が足りない。
沖縄という立地を活かして、夜の星空と組み合わせたり、自然との融合を図ったりすることで、独自性は出せるはず。
ストーリーを強化して、世界観に引き込まれるような体験に再設計していくことが鍵。
そして、「また来たくなる理由」を作る。
季節イベントやリピーター限定体験、スタンプラリーなど、再訪したくなる仕掛けがまだまだ足りない。
SNS映えだけじゃ人は動かないし、残らない。
■まとめ
ジャングリアの問題は運営や現場の努力ではどうにもならないレベルにある。
これは構造のミスだ。設計段階での判断ミスであり、最初から無理な数字を目標に掲げた結果でもある。
でも、ここで改善に本気で取り組めば、逆に信頼を取り戻すチャンスになる。
失敗を正直に認めて、再設計する企業って、それだけで応援されやすい。
ジャングリアがやるべきは、体験の再設計。
ただ数を増やすのではなく、顧客の期待値と処理能力を一致させること。
それができれば、沖縄の新しい観光資源として、もう一度チャンスを掴めると思う。
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