AIを間違って取り入れた人の話
- yuki kato
- 4月15日
- 読了時間: 2分
「よし、これからはAIの時代だ!」
そう叫んだのは、個人で小さな通販ビジネスを営む男――タカシ(仮名)だった。
彼はYouTubeで見た「ChatGPTで月収100万円!」という動画に触発され、すぐに有料版を契約した。そして、こう考えた。
「全部AIに任せれば、俺は何もしなくても稼げるんじゃ?」
それが、地獄の始まりだった。
◆とりあえず聞いてみた。でも…
「商品説明文をつくって」「SNS投稿を毎日書いて」「売れるキャッチコピーを教えて」
ChatGPTに向かって、タカシは次々と命令を出した。最初はすごく便利に感じた。文章もスラスラ出てくるし、なんだかプロっぽい。
だが、ふと気づく。
「…ん?この説明文、ウチの商品とちょっとズレてるな」
「なんか、どれも“それっぽい”けど刺さらないんだよな」
そう。AIはあくまで補助であって、タカシの「考える力」や「伝える熱量」まで肩代わりしてくれるわけではなかった。
◆AIを使うことが目的になってしまった
数週間が経ち、彼のX(旧Twitter)はAIが生成した無機質な投稿で埋め尽くされた。反応はゼロに近い。
「AIがやってるんだから間違いないはずだ」と信じていたが、現実は甘くなかった。
投稿の時間、フォロワーとの関係性、商品の見せ方…
タカシは一度も考えていなかった。
「全部AIに任せてるから、俺は楽して稼げる」と思っていたが、実は“AIに使われていただけ”だったのだ。
◆ある日、古参の顧客からメールが来た
「最近、あなたの発信に“らしさ”がなくて残念です。前の方が好きでした」
ハッとした。
AIに任せすぎて、「自分の言葉」を失っていたことに。
そこからタカシは少しずつ考えを変える。
AIにやらせる前に、「自分の意思」を言語化するようにした。
「これは誰に向けた投稿なのか?」
「自分はこの商品で何を届けたいのか?」
その答えを、自分でしっかり持った上で、ChatGPTに“相談”するスタイルに変えていった。
◆そして、半年後
今、タカシの投稿には人の温度がある。
時に拙いけど、共感を呼ぶ。
時に間違うけど、リアルだ。
AIはその横で、アイデア出しや文章の整形をサポートする“右腕”として静かに寄り添っている。
「AIは、魔法じゃなかった。でも、仲間にはなれる」
そう語るタカシの顔には、あの日よりもずっと強い意志が宿っていた。
◆まとめ:「AIに任せる」の前に「何をしたいか」を決めよう
AIは使うもの。使われるものじゃない。
「とりあえず流行ってるから使う」は、一番失敗しやすいパターン。
目的を持って、使いどころを見極めることこそが、AI時代を生き抜く鍵になる。
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