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最低賃金を上げる本当の理由 ――倒産すべき会社を倒産させ、人と資源を循環させるために

  • 執筆者の写真: yuki kato
    yuki kato
  • 8月5日
  • 読了時間: 3分
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最低賃金がまた上がるらしい。

そんなニュースが流れるたびに、SNSや街中では決まって同じような声が聞こえてくる。


中小企業が潰れる。

物価ばかり上がって生活は苦しくなる一方だ。

働く人を守るためなんでしょ。


もちろん、最低賃金の引き上げは、労働者の生活を支えるという表向きの意図がある。

だが、少し俯瞰して見ると。

これはただの善行政策ではなく、社会全体の構造を入れ替える静かなトリガーであることが見えてくる。


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■潰れるべき会社が、潰れやすくなる仕組み


最低賃金が上がるということは、人件費が底上げされるということ。

つまり、安い労働力でなんとか成立していた企業が、維持できなくなる。


これは残酷なようでいて、本来あるべき市場の整理でもある。

人件費をまともに払えない構造で延命してきた企業を、市場の自然淘汰に委ねる。

国が直接潰せと言わずとも、経済の血流を詰まらせていた組織を静かに退場させる圧力になっていく。


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■その結果、流れ出す「人」と「資源」


企業が撤退や倒産をすれば、そこにいた人材は職を失う。

ただし、それは行き場を失うということではない。


むしろ、最低賃金上昇というフィルターを通すことで。

企業は本当に雇いたい人材しか採れなくなる。

結果、低賃金で塩漬けされていた人材が、本来いるべき場所へ移動する契機になる。


同時に、空いた土地、設備、資金が他の成長産業や新しいプレイヤーに回る。

これは、人とモノとカネの循環が正常化していくプロセスそのものだ。


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■上げることが目的じゃない。流すことが目的


最低賃金を上げることは目的ではない。

それによって流れを生むことが本当の目的だ。


低賃金に頼って維持されてきた旧型のビジネスモデル。

惰性で続く中小零細企業。

補助金や低賃金を前提にした非効率な構造。


そういったものが無理やり守られ続ける社会の先にあるのは。

慢性的な停滞と低成長でしかない。


最低賃金の引き上げとは、言い換えればこうだ。

経済の流れを取り戻すための構造リセット。


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■働く人も、企業も、選ばれる側になる時代


企業は、これだけ払ってでも雇いたいと思われる人材を選ぶ。

働く人は、この金額でも十分だと思ってもらえる仕事と職場を選ぶ。


この選び合いが本来の健全な労働市場の姿であり。

最低賃金の引き上げはその環境を強制的に整えていく。

それは、雇用の流動性を担保し、硬直化した経済に新陳代謝を与える行為にほかならない。


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■まとめ


最低賃金の引き上げは、表向きには労働者を守る制度だが。

その裏には、市場の代謝を促す選別装置としての機能がある。


潰れるべき会社が、潰れる。

そこに閉じ込められていた人材と資源が、動き出す。


それはむしろ、新しい経済の芽を育てるための土壌づくりなのだ。

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