top of page

なぜお米5kg2000円はもう買えないのか? 本当はずっと異常だった日本の米価

  • 執筆者の写真: yuki kato
    yuki kato
  • 4 日前
  • 読了時間: 3分

最近スーパーでお米を買おうとすると、5kgで4000円。


高い、前は2000円だったのに!と思う人も多いでしょう。

でも実はこの高いと感じる価格こそ、本来あるべき正当な価格なのかもしれません…というお話です。


お米の価格がなぜここまで上がったのか、そしてなぜ今まで安く買えていたのか、その裏側をわかりやすく解説します。




■今の米価は高いのではなく正常化してきただけ


最近は、お米5kg=4000円、1kgあたり約800円が相場。

でもこれ、農家にとってやっと最低限の時給が成り立つ価格帯です。


たとえば──

・5kg4000円で流通した場合、農家の取り分は約1400円(残りは小売や物流など)

・1反あたりの収穫(約480kg)で得られる収入は約13万円

・資材、燃料、肥料などのコストを差し引くと、残るのは約7万〜8万円

・作業時間約60時間で割ると、時給は1200円前後


つまり、バイト並みの時給をようやく確保できるラインが「5kg4000円」なのです。




■なぜ5kg2000円で売れていたのか?


それは、いわば見えない犠牲の上に成り立っていました。


・農家の無償労働

田植えも稲刈りも家族総出。人件費をゼロとして価格を成立させていた。


・減価償却を見ない会計

トラクターや乾燥機の費用を考慮せず、修理も自力。機械寿命を無視して価格設定。


・補助金に頼る経営構造

減反すれば補助金、安く売っても補填ありという制度的歪みが存在。


・価格主導権の欠如

JA主導の流通によって、生産者は価格を決められず、買い叩かれていた。


・兼業農家や趣味農業の存在

米づくりは生活の柱ではなく副業や地域文化として続けられていた。



■なぜ今、突然是正されたのか?


それは複合的な限界が一気に押し寄せたため。


【突然の米価是正、5つの要因】


・燃料や肥料の価格が世界的に高騰した

ウクライナ戦争、円安、資材の輸入高騰によりコストが跳ね上がった。


・高齢化と担い手不足が深刻化

農家の平均年齢は67歳以上。作る人自体が急減している。


・直販やブランド米の流通が拡大

農家がネット販売で適正価格で売るようになり、旧来の安値構造が崩れた。


・政策の転換

減反や一律流通から脱却し、飼料米・輸出米など多様化を進める流れに。


・価値観のシフト

安ければ良いという時代から、持続可能性や作り手の見える消費が重視されている。



■それでも値上げと感じてしまう理由


消費者から見れば、たしかに価格は急上昇したように見える。

でも実際は、何十年も価格を据え置いてきた結果、限界が来て破綻しただけ。


たとえるなら、

毎回100円で髪を切ってくれていた美容師さんが

「道具代も上がったし、もう1000円ください」と言い出したようなもの。


値上げではなく、ずっと放置されてきた歪みが崩壊しただけなのです。



■これからどう向き合うか


・ふるさと納税や農家直販で中間マージンを抑える

・規格外米やブレンド米を活用する

・生産者の顔が見える米を選ぶ

・値上げと考えるのではなく、未来への投資と考える



■まとめ


お米5kg2000円の時代は、農家の沈黙と我慢の上に成り立った幻想でした。

今はその歪みが限界を迎え、やっと人間らしく作れる価格に近づいてきただけです。


食卓のその一杯が、誰かの生活と未来を支えている。

そう思えば、4000円は決して高くない。

Comments


〒330-9501 埼玉県さいたま市大宮区桜木町2−3 大宮マルイ 7階 アントレサロン大宮内

  • X
  • Instagram
  • Facebook
  • YouTube
  • Google Places

©2021 by 合同会社Lepnet

bottom of page