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森岡毅の戦略失敗から考える消費者心理と没入感の誤解

  • 執筆者の写真: yuki kato
    yuki kato
  • 8 分前
  • 読了時間: 3分

■体験ビジネスが連続してつまずいた理由

西武園ゆうえんち、イマーシブフォート、ジャングリア。


これらの施設に共通しているのは、努力不足でも企画力不足でもありません。


最大の共通点は体験に「正解を用意してしまった」こと。


こう感じてほしい

ここで感動してほしい

この価値を持ち帰ってほしい


この設計は一見すると親切で完成度も高い。

しかし現代の消費者心理とは致命的に噛み合わなくなっています。



■消費者は楽しみたいのではなく主体でありたい

現代の消費者は導かれることに価値を感じにくくなっています。


情報は事前に知れてしまう。

体験はSNSで消費され尽くす。

正解は入場前から透けて見える。


その状態で用意された感動をなぞらされると、人は無意識に評価される側に回ります。


ちゃんと楽しめているか

期待通りに感じられているか

この瞬間没入は終わり、体験は観覧に変わります。



■間違った没入感とは何か?

没入とは世界に自分が影響を与えていると錯覚できる状態です。

ところが正解が設計された体験では何をしても物語は予定通り進む。


選択肢があっても分岐は限定的。

自由を宣言されるほど人は不自由を探し始める。


これは没入ではありません。

正解確認型コンテンツです。



■USJ成功は再現可能なモデルだったのか?

USJが成功した理由は強力なIPがあり、正解が一つで成立する世界観だったからです。


ハリー・ポッターの世界に入る体験は、答え合わせを求める人に最適だった。


しかし昭和の街、自然体験、イマーシブという文脈は違います。

本来正解が存在しない領域です。


そこに正解を持ち込んだ時点で体験は軽くなります。



■多様性は語った瞬間に死ぬ

この失敗は多様性の扱い方にも通じます。


人は言われた多様性には反発します。

感じた多様性には納得します。


多様性を尊重しましょうと言われた瞬間、評価軸が立ち上がる。

正しく感じなければならない空気が生まれる。


これは多様性ではなく管理です。

本来の多様性は現象です。

同じ体験なのに語りが違う。

人によって意味が変わる。

言葉にできない違和感が残る。

これを説明しようとした瞬間、価値は崩れる。



■ハイコンテクストな価値が再び重要になる理由

体験、文化、信頼、居心地、余韻。


これらはハイコンテクストでしか成立しません。


言語化できない。

人によって感じ方が違う。

時間が経って意味が変わる。


AIが普及する社会になると、ローコンテクストな合理性は誰でも使えます。

だからこそ言葉にできない違和感を残せるかどうかが差になります。



■正解を設計しないという高度な判断

これからの体験設計で必要なのは、没入させることではありません。


没入してしまう余地を残すことです。

正解を置かない

感動を決めない

物語を完結させない


参加者が勝手に意味づけし、勝手に語り、勝手に拡張する。


設計者は後から拾い、編集する。

最適化の時代は終わりました。

未最適を解放できるかどうか。

そこに次の価値があります。



■まとめ

森岡毅の戦略失敗は個人の問題ではありません。

時代と社会構造が変わったことへの警告です。


正解を出せる人より、

正解を置かない判断ができる人。

その価値はこれから確実に上がっていくと思う。



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合同会社Lepnet 代表社員 加藤勇気

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